導入後インタビュー#09
株式会社宮本工業様・株式会社トーアエンジニアリング様

CAD/CAMシステムと連携
ティーチレスでプレカット建材を自動積み付け

詳細を知る

ロボット導入までの概要


住宅建材のプレカットシステムの開発・販売を手掛けられる株式会社トーアエンジニアリング様を通じて、株式会社宮本工業様の工場にてプレカットシステムと連動するロボットに、Mujinコントローラを採用いただきました。トーアエンジニアリング様には、保有されるCAD/CAMシステム向けにカスタムしたMujinコントローラを提供しています。加工機でプレカットされたパネル材を適切な荷姿に積み付けていくロボットの「ティーチングの工数削減」「搬送軌道最適化」 に貢献いたしました。
建築現場での作業効率向上のためにプレカット工場が担う役割が大きくなる中で増え続ける、人手による木材のハンドリング作業の負荷を軽減する取り組みとして期待されています。

エンドユーザー

株式会社宮本工業様

アプリケーション

木質パネル材積み付け

01. 課題

自動化が進む「加工」とは対照的に手作業が残る「搬送」

梱包などプレカット加工機の前後では手作業が多い
“少子高齢化による労働力不足は顕著。人が関わる必要がある作業を絞っていかなければならない。 (宮本様)”

住宅建材生産の工業化が進み、建築現場に代わってプレカット工場が担う役割が大きくなった結果、木材の加工機への投入や切り出された建材の積み付けおよび梱包の負担が大きくなったと言われています。今回ロボットをプレカット工場で稼働させた宮本工業様とトーアエンジニアリング様に、生産現場における課題を伺いました。


株式会社宮本工業 代表取締役社長
宮本 哲治 様 (以下、宮本様):

建築業界全般に言えることですが、プレカット業界でも少子高齢化による労働力不足というのは顕著です。 現在でも難しい従業員の雇用がより困難になるのは必然と言えます。

肝心なのは5年後、10年後のことを考えていく中で、 働き方改革の推進など今後も労働環境や状況が著しく変化していくだろうことを考えると、 現在3つの事業所で雇用している人的規模をそのまま保つ努力をするのではなく、 人が関わる必要がある作業を絞っていかなければなりません。

現在弊社の従業員の平均年齢は40代後半ぐらいと高めになっていまして、 現在中心となっている世代が引退する時期を考えてみると、 さらに雇用が困難になる中で「3人引退したから3人雇用する」のではなく、 それに耐えられる事業体制を作っていくべきだと考えています。 

株式会社トーアエンジニアリング 代表取締役社長
野口 睦 様 (以下、野口様):

私からは工場の設備納入側から見た視点ということになるのですが、 このプレカットという業界は家を建てることに関わる非常に意義のある仕事なのですが重労働とも言える作業を伴います。 木材ですから重たい資材も持ちますし、働く方からすると年齢が上がるとやっていけるのかどうかと考えてしまうような。

これまであまりにも搬送や梱包の工程を人の労働力に頼ってきた部分が大きいものですから、 加工工程だけではなくそちらの負荷も軽減しなければと、設備やシステムを作る側の考えとして持っていました。

解決策のひとつとして徐々に取り組み始めていたものの、ロボットみたいなものはまだまだSF的な捉え方をしていたわけですが、 その中でも将来に向けて一歩を踏み出す必要がありました。

02. 解決

Mujinコントローラで搬送ロボットの実装工数削減・搬送効率向上

“思い描いていた動作が実現できました。今後はお客様が求める効率まで仕上げていきます(野口様)”

Mujinはロボットの動作経路を最適化するMujinコントローラをカスタムし、トーアエンジニアリング様が保有するCAD/CAMシステムと連携する搬送用ロボットに適用することで、ロボットの実装工数の削減に貢献しました。また、あらゆるロボットの動作が把持している対象も考慮しながらティーチレスで最適化されているため、搬送効率の向上にも寄与してきます。
一方で、ロボットを稼働させたからこそ見えてきた、さらなる生産性向上への試行錯誤は続くといいます。


野口様:
ロボットに行わせたい動作という意味で言うと、基本となる「積み付け」をはじめ、当初考えた通りに必要な動作をMujinコントローラで実現できています。今後は効率の部分をより追求していく段階と言えます。

設備納入側としては導入いただく際に特別な難しさというのはなかったように思いますが、運用を始めてみると当初考えていたところと釣り合わないようなところはどうしても出てきたりするので、今後も改善していきます。 あとはそのレベル感の問題だと考えていますので、ご使用になられる宮本工業様をはじめとするお客様に納得・満足いただけるところまで仕上げるというのが私たちとしての最終的な答えになると思います。 

株式会社宮本工業 上席執行役員 和歌山本店長
辻田 正人 様 (以下、辻田様):

本稼働してから現在7ヶ月ほど動かしておりますが人手とは勝手が違うところもあり、 ロボットと加工機の連動や弊社側の運用など、 より生産性を高めるための伸び代があると感じています。 

ロボットを入れることによって、 どういった工場体制が一番効率が良いのか模索して行く必要がありますので、 様々な視点で運用方法を見ながら改善していこうと考えています。 

ロボットが担う搬送動作

加工後のパネル材を積み付け
スペーサーとなる木片の配置
積み付け順序調整用の仮置き台との連携
端材の廃棄

03. 今後の展望

柱材・横架材・羽柄材など搬送対象の拡充を期待

“プレカット工場で新しい設備を導入して建築現場の作業を楽にする余地はまだまだある(宮本様)”

宮本工業様にとって初めてのロボット導入となった本件を経て、将来予期される住宅着工件数の減少の中で起きうるプレカット業界再編への対策のひとつとしても、ロボットの活用範囲を拡げていきたいという期待をいただきました。


辻田様:
今回初めて導入したのが、板材が対象の搬送ロボットになりますが、 加工機は構造躯体で利用する横架材ですとか柱材、また羽柄材とそれぞれに用意されています。 その部署ごとにニーズはありますので、今後幅広い用途でロボットを活用できれば当然工場内の省人化・負荷軽減が進むという形になりますので、 実現すれば今後も取り入れていきたいと思っています。

宮本様:
10年後なのか20年後なのかは分かりませんが、残されている大半の人手作業をロボットが担う時代が来ることは間違いないと思います。 作業者の負荷をできるだけ取り除いて、 横並びとも言えるプレカット業界において差別化を図っていく必要があると思います。

とはいえ、どう差別化するのかを具体化していくのが難しいのだと感じますが、 Mujinのような企業の新しい技術を取り込んでいくということが武器になっていくと思いますし、 パネル材以外の搬送や荷造りで困っているところにも、 将来的にロボットが入れられるようになればプレカット工場としては非常に喜ばしいことです。 

少子高齢化という問題もある一方、 今後も人口が減り、住宅着工件数も減っていくというのは間違いのない事実なので、そういった状況でも変化に耐えられるようにプレカット工場に積極的にロボットを導入し、自動化比率を高めていくことで、 揺るがない企業基盤ができていくのかなと思います。  

建築現場での高齢化も同様に進行しますので、今後も建築現場でおこなっている仕事をプレカット工場が引き取っていかなければならないと認識しています。 従来通り「ここまでの仕事しか受けません」という限界を決めてしまわずに、 何でもできるプレカット工場を作り上げることで差別化を図りたいですね。 

パートナー企業様の声


株式会社トーアエンジニアリング
代表取締役社長 野口 睦 様のコメント
株式会社トーアエンジニアリング
野口 睦 様

ロボットの新しい制御技術を探していたことがきっかけでMujinとの協業が始まったわけですが、そのコアの部分はどんどん突き詰めていただいて、 我々のようなメーカーが使いやすい分野ですとか範囲まで広げていただくことを望んでいます。

これまでプレカットの現場において、加工機の横でロボットが作業するというシーンはあまりなかったので、自動化市場としてのチャンスは多く残されています。時には何百キログラムにもなる長く重い木材を加工機に投入したり、出来上がった一品物の製品を決められたルールに則って梱包するなど、まさに重筋作業を伴いますからどんどん自動化しなければなりません。

一方で、製品自体が重量物ではない部材に関しては、その数量の多さやルールから搬送や積み付けの自動化需要はあるにせよ、それほど大きなロボットは必要としないはずです。むしろ作業者の肉体的な負荷軽減のみならず、別の機軸を打ち出す必要があると考えています。指定通りに積み付けていく以外の付加価値や、Mujinと協業する意義を深掘りしていきたいと思います。

技術面での期待感は非常に高いので、ので、今後も開発のテーマを設けながら、 我々がチャレンジしていきたいし、していかなければならない課題に取り組んでいく 前向きなパートナーシップをMujinとは継続していきたいです。

そして、弊社が関わるプレカット業界のユーザー様へ、確実にメリットをお届けできるように性能を向上させていきたいと思っています。 今回、宮本工業様にはロボット導入においてトップランナーとして走っていただきましたので、やはり常にトップで突き進んでいただきたいという想いもあります。 我々としては是非引き続きご支援させていただきたいと考えております。

パートナー企業様 概要

会社名
株式会社トーアエンジニアリング
本社所在地

〒351-0014 埼玉県朝霞市膝折町4-21-22

設立
1989年8月1日
事業内容
– 各種木材加工機の設計、開発、製造、販売
– 木構造用CAD-CAMの設計、開発、販売
URL
https://toa-gr.jp