経営者 × 自動化改革 最前線 ♯1「日本運輸株式会社様」最新工場物流DX現場、その投資判断の真意とは?

2026/03/04
経営者 × 自動化改革 最前線 ♯1「日本運輸株式会社様」最新工場物流DX現場、その投資判断の真意とは?

「経営者 × 自動化改革最前線」では、変化の激しい事業環境の中、将来にわたる事業の存続と発展をかけ、困難やリスクを承知で果敢にDXへの投資に踏み切った経営者の一手に迫ります。経営者としてなぜ今その一手を打ったのか、DXがどのように競争優位性を確立したのか。本シリーズでは、労働集約型の現場をデジタル化で刷新し、未来への事業存続をかけた経営の意思決定をご紹介します。

第1回目となる今回は、従業員数約640名ながらも大手自動車完成車メーカー、自動車部品メーカー、化学素材メーカーなどのを荷主顧客に持ち、梱包~運送~倉庫事業までの一貫した総合物流サービスを提供する日本運輸株式会社様です。

昨今の消費者ニーズの多様化や製品サイクルの短縮化を背景に、関東圏の完成車メーカーでは多品種・小ロットの混流生産が常態化しています。そのため部品供給の現場では、メーカー側の生産計画に応じた柔軟な対応が求められる一方で、自動化は容易ではありません。実情として、多くの企業が人海戦術に頼って運用しているのが現状です。

そうした中、日本運輸様では経営と現場が一体となり、属人作業のデジタル化と生産現場と連動した高難度な自動化に挑戦されています。本記事では、その取り組みの舞台裏にある経営判断について、代表取締役社長の橋本様に語っていただきました。

<お話を伺った方>
日本運輸株式会社 代表取締役社長 橋本 様

1. 高難度プロジェクト×大型投資に踏み切った背景にある経営側の危機感とは

Mujin 貴社のような自動化に着手したくても、大企業の様にはなかなか進められずにいる中小企業様が多いと私たちは日々感じています。その中で貴社が挑戦に踏み切った背景を教えてください。

橋本様 まず背景に、ここ数年で北関東の大手完成車メーカーも多品種小ロットの混流生産にシフトしています。その潮流にあわせて当社は、サプライヤーから集約した自動車部品を、メーカー側の生産計画に合わせて部品供給を行うサービスを提供しています。
物流というと路線や段ボールケースといった箱ものに焦点が行きがちですが、私たちが扱うものは宅配便などの提携サイズの箱物とは違い、複雑な形状で自動車部品が入った通い箱に加え、長尺物や重量物です。さらに、自動車部品は左右が決まっているブレーキランプなど、扱う品種は多岐に渡ります。そのため、現場はどうしても労働集約型になってしまい、人海戦術の際たるものでした。

一方で、自動化したくても、通い箱自体のハンドリングも難しければ、メーカー側とのデータ連携も必要です。投資額は億単位になり、ROIの回収を考えると大企業の様に思い切った変革に踏み切るのは、私たちにとっては容易ではありません。しかし、この先人手不足になる事は明らかで、働き手がいなくなる未来が容易に想像できますよね。それに、日々重量物を扱う作業は決して楽ではありません。従業員のやりがいやモチベーションはもちろん、より良い職場環境にしていかなければ事業は続けられなくなる。経営者として常に危機感を感じていました。

日本運輸 橋本社長

Mujin 貴社のホールディングス全体でも、そのような危機感はあったのでしょうか?

橋本様 はい、もちろんです。グループ内でも自動化は1つのキーになっています。ニッコンホールディングスは、「多種多様なニーズに高付加価値物流サービスを提供すること」と、「自前主義に基づいた手の内管理で高度な総合一環物流を実現すること」を掲げ、提案力と現場力が強みです。ただ、今はそれ以上に時代の変化が加速しており、そのスピードに取り残されないよう常に危機感を持っていました。

 

2. 経営者として“今”取るべき決断と覚悟が3年先を左右する

Mujin そんな中でグループ内でも貴社が先陣を切って今回の挑戦に挑む決断をした理由を教えてください。

橋本様 私がホールディングスから日本運輸に送り出されたとき、ホールディングスの社長から“社長の仕事は3年先を見て楔をうつのが仕事”と言われました。その言葉が常に頭の中にありました。そこで3年先を見据えると、物流業界における労働者不足は明らか。時代も自動運転やトラックの渋滞隊列走行など、どんどん自動化にシフトしているのに、物流だけがいつまでも労働集約型では、この先顧客に取り残されますよ。“人がいない”はもはや理由にはならないですからね。今の時代は様々な技術が発展しているので、時代のスピードについていけずに遅れを取れば、それは致命傷です。

一方で、投資したら今すぐメリットがでるとは思っていません。もちろん何年で投資回収というは目的としてはありますが、3年、5年先をみると入れて良かったと感じるだろうと確信したんです。現場からは以前より、自動化への要望があがっていました。一番困っているのは現場です。経営者として、彼らが最初の一歩を踏み出せるよう背中を押す必要があると感じたのです。投資を控えることと、将来に備えること、どちらが重要かは明らかです。今やることが、3年先を形作るのです。どうせやるなら、グループの中でも先陣を切って挑戦し、ニッコンホールディングス全体、ひいては業界全体のパイロット的存在になる。その覚悟をもって、自動化に踏み出しました。

 

3. 未来へ事業を継承していくための答えこそがデジタライズ化

Mujin Mujinを知ったきっかけを教えてください。

橋本様 Mujinを知ったのは国際物流展でした。その後、現場担当者がウェブで問い合わせてみたのが始まりですね。時代はものすごいスピードで進んでいるので、自動化するのは無理だろうと思っている事でもきっと何かしら方法はあると思っています。今ある物流の姿を基準にするのではなく、先進的な物流を目指したい。だからこそ、私たち経営陣も現場と同じ目線で展示会に足を運び、常に新しい技術と向き合うようにしています。

Mujin お問い合わせをいただいてから現場側がMujinの採用を検討されている際、Mujinはベンチャー企業ということもあり経営者として不安はなかったのでしょうか?

橋本様 正直、最初は不安もありました。当社の事業特性柄、コミュニケーション面では当社とMujin間だけではなく、当社とメーカー側でも発生します。特に今回のプロジェクトでは、荷主であるメーカー側の生産計画(MES/WMS)と、当社の倉庫内オペレーションを制御・管理するシステム(倉庫運用管理システム:WES)を連動させるデータコミュニケーションも必要だったからです。「本当に業界のことわかっている?大丈夫かな?」という懸念はありました。
実際にはプロジェクトを進めていく中で、Mujinは当社の現場や業界の構造をよく理解してくれていました。その姿勢がメーカー側にも伝わり、最終的にはお客様からも信頼を得ることができました。

やはり、どの現場にも先進的な発想を持つ人と、慎重・保守的な立場の人が存在します。新しい仕組みの本当の良さは、実際に経験してもらわなければ伝わりません。だからこそ、「まずやってみる」ことが重要なのです。そこからすべてが始まると、改めて実感しました。
経営者として、特に印象に残っている出来事があります。滝野さん(Mujin CEO 兼 共同創業者)にお会いした時「自動化は、職人や熟練作業者様の技や、カンコツで行っている日々の作業をデジタライズ化し、未来に継承していくことです。」と言われて感銘を受けたんです。私たちの事業を未来に継承するためにシステム化していかなければならないという自分の考えと、まさに合致していたからです。あ、これはMujinに任せて大丈夫だなと確信した瞬間でした。

日本運輸 インタビュー

4. “導入は通過点” 競争優位性を確固たるものにするための今後の展開

Mujin 導入後のホールディングス内での反響や、今後の展望について教えていただけますでしょうか?

橋本様 導入後は、ホールディングス各社や荷主であるメーカーの皆様を含め、多くの方々が当社の現場を見学に訪れています。実際、ホールディングスの社長からも「一度見に行ってこい」との指示が出ており、今回の取り組みがグループ全体に与えるインパクトや、動機付けとしての効果が評価されていると感じています。見学の機会を通じて、グループ内での刺激にもなり、自動化に関するノウハウが蓄積されていく。結果的に、私たちの取り組みがグループ全体の成長にもつながっていることを実感しています。

ただし、私たちにとって導入はあくまでも「通過点」です。導入することを目的にしていては、やはり時代に取り残されてしまいます。次のステップとして、「人が本来やらなくていい業務」をどこまで自動化できるか。今回導入しMujinのシステムを基盤として、いかに現場運用を成熟・進化させていけるかが、今後の私たちの競争力を大きく左右すると考えています。当社は地域・荷主密着型のサービス提供と、各営業所や事業所とつながりが強く、効率よくダイナミックに対応できる部分をもともと強みにもっています。自動化による効果と本来の強みを掛け合わせれば、さらに競争優位性を高めていけると信じています。だからこそ、Mujinには今後も積極的に提案してもらい、さらにダイナミックな変革を一緒に実現していきたいと期待しています。

日本運輸 橋本社長
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